靴の用語辞典靴に関する用語満載
ア行
アース・シューズ
直訳すると、「大地の靴」。大地をしっかりと踏みしめられる靴ということで、普通の靴とは反対に、爪先より踵が低いのが特徴。自然志向を背景に、1970年ごろから注目され始めた。考案者はデンマークのヨガ教師、アンカルソで、ブラジル・インディアンのはきものと姿勢からヒントを得たと言われている。
アーチ
足のかかとからボール(土ふまずの部分)までを支えているアーチ状の部分。
アーチ・サポート
足の土ふまず部のアーチを補佐する目的で靴の内側の土ふまず部に挿入する"あてもの"。
アイレット
靴の紐を通す小穴。いわゆる「はとめ」のこと。例えば2アイレットといえば"二ツはとめ"また5アイレットといえば"五ツはとめ"のこと。
アイロン・トウ
文字通りアイロンの先のような、とがった形状をしたトウライン(靴の爪先)をいう。
アウト・ソール
靴の部分の名称で、靴底部の床面に接する部分およびその材料をいう。本底または表底ともいう。革底のほかクレープ・ソール、合成ゴム底、スポンジ・ソール、ウレタン・ソール、そのほかウッド、コルク、ジュートなどがある。
浅沓(あさぐつ)
平安時代から貴族の正装用にはかれた、日本古来の沓(くつ)。木製で黒の漆が塗られ、爪先はやや反り上がり丸く、オランダの木靴に似たスタイルをしている。日本にも、下駄や草履のような開放型のはきものだけではなく、木や藁で作られた足を被うタイプのはきものはあったが、浅沓はその代表的なものの一つ。
足
くるぶしから下の部分。英語では「foot」。足は、片足26個の骨からなり、全身を支える支持器、歩くための運動器、その他、第二の心臓と言われるように循環器、また感覚器として働いている。
脚
大腿部からくるぶしまでの部分。英語の「leg」に当たる。
足入れサイズ
靴のサイズ表示法の一つで、その靴にフィットする足のサイズを表示するもの。他に、靴型の大きさを表示した「靴型サイズ」がある。日本の靴サイズ表示は、足入れサイズ。従って、足長23cmの人は、23と表示された靴がフィッティングの目安となる。
アスレジャー
「アスレチック」と「レジャー」が結びついた造語で、テニスやランニングタイプの運動用の靴をカジュアルシューズとして、レジャー用にはけるように商品化されたもの。スニーカータイプのものを中心としたスポーツカジュアルシューズのこと。
アスレチック・シューズ
競技用運動靴のこと。特定のスポーツのためにデザインされた靴。野球用、ランニング用、フットボール用、サッカー用など。一般スニーカーも含めてアスレチックと総称することもある。
アッパー
靴の甲の部分の総称で、底部をのぞく上部のすべての意に用いる。
穴飾り
穴あけ機や抜き打ち機で、連続的、規則的にあけた小さな穴によって描き出した、靴のアッパーを装飾するための飾りのこと。メダリオンはその代表。
アニリン仕上げ
アニリン染料で仕上げた革のこと。合成染料の一種であるアニリン染料で仕上げたもので、ぎん面の模様を効果的に浮き出させた透明仕上げをした革を呼ぶ。主として高級なカーフ、キップなどの仕上げに行われる。
アフタースキー・ブーツ
アプレ・スキーブーツともいう。スキー場までの往復や防寒のためにはく毛皮などを用いたブーツ。
編み上げ
羽根の縁に取り付けられたハトメやフックに、それに靴ヒモを通すか、引っかけるかして編み上げて着用するブーツのこと。
あめ豚
豚革の仕上げ方法による呼び方。あめ豚は、ピッグスキンをタンニン鞣しした後、染色ぎん面を摩擦して焼色を出し、あめ色をした透明感のある肌が、特有な毛穴を浮き出させる。この場合の"あめ"というのは"水飴"のような透き通った黄色という意味からきている。
アメリカ・サイズ
靴のサイズ表示法の一つで、アメリカを中心に用いられているもの。足長は、インチに基づき、4、5、6などの数字で表記されるイギリス・ サイズ(同項参照)とほぼ同じだが、起点となる「0」の位置が、イギリス・サイズより12分の1インチだけ、かかとの方に寄っている。従って、例えばイギリス・サイズで7の人は、アメリカ・サイズでは、それより大きなサイズ表示の靴がフィットするということになる。足囲は4分の1インチ等差でAAAA、AAA、AA、A、B、C、D、E、EE、EEEというように表示され、非常に多くの種類がある。また、日本のサイズ表示が足入れサイズ(同項参照)なのに対し、靴型の大きさを表示する靴型サイズとなっている。
アリゲーター
ワニの一種で、北米ルイジアナ州ミシシッピ河畔に生息している。現在は野性動物保護条約により捕獲が禁止されている。
アルバート・ブーツ
イギリスのプリンス・アルバートが愛用したくるぶし丈のブーツのこと。足のくるぶしの上までのブーツで、両側面にゴム布(ゴア)が縫いこまれている、「サイドゴア」ともいわれるもの。はき口の前後につまみ(プルストラップ)がついているのが特長。「チェルシ・ブーツ」または「フラメンコ・ブーツ」とも呼ばれる。
アルパルハータ
スペインの民族的なはきもの。底は麻やジュートを編んだもの、アッパーは布やヒモなどで作られている。フランスでは、エスパドリーユという。
アンクル・ストラップ・シューズ
足のアンクル(くるぶし)部にベルトを配した靴の総称。例えばバックベルト・サンダルなど。
アンクル・パッド
足首パッドのこと。ウレタンフォームなどの軟質スポンジを挿入。足首の部分をソフトに包み、フィット感を高めて、足の動きを保護する役目も果たしている。主としてジョギング・シューズや登山靴に多く使われている。
アンクル・ブーツ
はき口がくるぶしまでの深さのブーツの総称。例えばデミ・ブーツ、チャッカー・ブーツ、アルバート・ブーツなどがある。
安全靴
普通、足の爪先を保護する目的で、トウの内部に金属のカップなどを入れて補強してある作業靴をいう。
アンチック仕上げ
革の表面に古びて時代がかった効果を出すため、革や靴の甲部分に特殊な仕上げをすること。
イギリス・サイズ
世界的に流通している靴のサイズ表示法の一つ。イギリスで伝統的に用いられて来たもので、足長はインチに基づく数字、足囲はアルファベットで表示され、靴型サイズをとっている。足長の起点(「0」) は踵点(かかとの一番出っ張ったところ)から4インチ(約101.6ミリ)のところとし、そこから3分の1インチ(約8.5ミリ)等差で1、2、3と進み、13と2分の1まで来ると、再び1に戻って2、3、4と進む。足囲はフィッティングと呼ばれ、4分の1インチ(約6.4ミリ)等差でC、D、E、Fと表示する。EE、EEEなどは使わない。
市革
靴の部分に使う革の呼び方。後部縫い割りの部分を補強する目的で、その部分に取り付けられた革片をいう。
一枚甲
通常、靴のアッパーは幾つかのパートからなる革を縫い合わせて作られるが、 一枚の革でできた靴を言う。縫い目が後部縫い割りしかないため、「シームレス・シューズ」とも言われる。
一文字飾り
靴のデザインのひとつでストレート・チップのこと。同項参照。
イブニング・シューズ
夜会に履く靴の総称。婦人用は一般にかかとが高く、ドレッシーなスタイルである。材料としてはふつうの革はあまり用いず、金銀色の革や服と共布、例えばサテン、ブロケード、ラメなどでつくられる。また宝石などを装飾に使ったものもある。多くはパンプス、サンダル型で、繊細な感じのものである。紳士用のものは、ふつうプレーンな総エナメルのものが多い。
イミテーション・アリゲーター
ワニ革に似せた型押し革のこと。アリゲーターグレインド・レザーともいう。
インジェクション・モールド・システム
射出成型による製靴法のこと。塩化ビニール(P・V・C)を熱で溶かし、金型に注入して靴を作る方法で、レイン・ブーツなどに盛んに用いられている。最近ではオール・ビニールの靴だけでなく、革靴の底付加工にも用いられ、生産性、耐久性などの面からも評価されている。
インステップ
足のくさび骨の部分。または靴型のこの部分にあたる部分。
インソール
靴の部分にあたる中底のこと。同項参照。
インナー・ソール
靴の中に入れる中敷のことで、革や、繊維、化学素材でつくられ、足の裏の形のように成形されたものもある。
インディアン・ブーツ
アメリカ北部のインディアンがはいていた、ヒールのない柔らかなバックスキンのハーフ・ブーツのこと。
インドア・シューズ
室内ばきのこと。
インド羊皮
インド産の粗毛羊の皮をインド産のアバラムタンニンでなめした革。柔らかくて緬羊革よりも良質で、手袋、袋物、裏革用にする。
ウイズ
足の踏着部の幅のことで、同じ部分の回り寸法は足囲(そくい)という。「ワイズ」と呼ぶのは誤り。
ウイング・チップ
アッパーの爪先部分のデザインの一つで、鳥の翼のような曲線を描き出したもの。穴飾り、ステッチ、あるいは切り返しで表現される。日本では、その形がおかめの面の、髪の生え際の形に似ているので、「おかめ飾り」とも呼ばれている。
ウエッジ・ヒール
ヒールの形の一つで、くさび形をしており、その前方が靴のウエスト部(靴のインステップとボール部の中央のややくびれた部分)まで達しているもの。
ウエスタン・ブーツ
アメリカ西部で開拓時代からはかれているブーツで、ナチュラルな感覚の皮革でつくられた深いルーズフィットのブーツ。「カウボーイ・ブーツ」も含まれる。
ウエスト
足甲部のボール部とインステップ部の中間にあたる、最もくびれた部分をいい、その回りをウエスト・ガースという。
ウエリントン・ブーツ
男子の革製の乗馬用ブーツで、主としてイギリスで軍靴として用いられたもの。また少し短いウエリントンはハーフ・ウエリントンと呼ばれ、これはブーツの脚部がズボンの下になるようなはき方をしていた。ウエリントンの名称は、ワーテルローの戦いでナポレオン1世を破ったイギリス軍の総帥アーサー・ウエルズリー将軍、すなわちウエリントン侯爵の名にちなんだもの。
ウエルト
靴の甲革と底革の縫い目の間に入れる細革のことをいう。
ウエルト・シューズ
ウエルト、すなわち細革によって本底が接合されている靴の総称。その代表はグッドイヤー・ウエルト式だが、グッドイヤーは機械縫い。最近は手縫いのウエルト・シューズが注目される傾向にある。
ウォーキング・シューズ
ローヒールで歩行に適した、ファッション性というより機能性を重視した実用的な靴。堅牢な材料が用いられ、紐結びが多い。足の健康のための靴として見直されている。
薄物
山羊革、羊革、その他大体厚さ3mm以下の牛、馬、豚革などをいう。薄物に対して厚物という語がある。
内羽根式
紳士靴のはき口の分類の一つでバルモラル(balmoral)のこと。同項参照。
裏はとめ
はとめの一種で、腰裏に挿入してこれに固定し、アッパーの表面には現れないもの。これは主にデザイン上の理由で用いられるが、その機能は表はとめと全く変わらない。
裏革
靴の甲革を補強したり、足触りを良くしたりする目的で、甲革の裏面につけられる革のこと。普通の場合、靴の先端部分にあたる先裏と後方にあたる腰裏に分かれている。山羊、馬革のほか豚革や合成皮革が多い。
ウレタン・ソール
発砲したポリウレタン樹脂の底で、軽く、合成ゴム底に比べ倍近くの耐摩耗性、耐油性がある。弾性が大きく復元性に優れるなど多くの特長をもっている。
エアロビック・シューズ
エアロビック運動のために、特別にデザインされた靴のこと。エアロビックダンス用、エアロビック体操用など。(フィットネス・シューズの項参照)
エスパドリーユ
もともとはフランスの海岸地方ではかれていた"わらじ風"のサンダルのこと。特長は底やヒールの周辺に麻の紐で編んだ素材が使われていて水に強い。またデザインは、紐がついていて甲の部分から足首にかけて結ぶものもある。英語ではエスパドリエ、エスパドリルとも呼ばれる。
エッジ
エッジは端の意。靴の底のまわりに出ている端の部分のことで、コバとも呼んでいる。
エナメル・レザー
クローム鞣しのカーフ、キッド、馬革など、ぎん付き革のぎん面に、ニスまたは樹脂を塗って光沢を出した革。パテントレザーともいう。
ABS樹脂
鉄より硬いといわれる合成樹脂。スチレンにアクリロニトリル、ブタジエンを共重合させた3種共重合体(トリポリマー)の代表的なもの。衝撃、熱、薬品、低温に耐える力が強く、寸法安定性にすぐれているのでテレビ、冷蔵庫、通信機材料など用途は広い。カバン関係では、アタッシュケースや旅行用ケースに使われている。
エルク
本来は大鹿の革のこと。現在では牛のクロム鞣し革を肉厚にして、エルク状に似せて柔らかく揉んだものを「エルク」と呼んでいる。この場合でも正しくは「エルク仕上げの牛革」と呼ぶ。ぎん面の粗めのしぼが特長。
塩蔵(えんぞう)
原皮を保存し、または輸送する間に腐敗しないように塩蔵(塩づけ)すること。方法としては1. 撒塩法(conbentional pack cure wet saltともいう)と、2. 塩水法(brine cure)がある。いうまでもなく、1. は原皮1枚1枚に岩塩をふりかけて原皮を重ねて塩づけにする方法であり、2. は95%以上の飽和食塩水を用い、水洗いされた原皮500枚くらい入るバットの中で食塩水を撹拌しながら24時間くらい漬け、さらに48~62時間水切りし、少量の新しい塩を肉面に撤いて、それから輸送される。
エンジニア・ブーツ
ワークブーツの一つで、堅牢な作りと、デザイン的にはインステップ部を横切るストラップがついているのが特徴。若者の間では、ファッションとして取り上げられている。
エンボッシング・レザー
型押革のこと。略して「エンボス」ともいう。主にクロム鞣しによる牛革などのぎん面に加熱高圧プレスで型をつけたもの。原皮の生体時のキズ(掻きキズ、軽い焼印、虫食い穴など)を目立たないようにし、革のデザインということで独特な模様をつける。
塩ビ
ポリ塩化ビニールの略称で、革とか革底など、いろいろなものの素材として、成型して使われる熱可塑性の重合体。
オーストリッチ・レザー
駝鳥(だちょう)の革のこと。表面は羽根を抜いた跡が、丸く盛りあがって面白い模様を形づくっている。丈夫な革なので、高級袋物やベルト等に使われる。
オーソペディック・シューズ
整形外科靴のこと。ある種の足の機能的欠陥または異常を調整し、軽減し、あるいは治療するために、特別にデザインされた靴。多くは医師の処方による。既製と注文製とがある。
オーダー・メイド
不特定多数を狙った既製品ではなく、その人のためのみにつくられた注文製品のこと。靴の場合は、客の足形に合わせて靴型までつくる注文靴が、いま見直されている。
オーバー・シューズ
靴の上にはくはきもの。ビニールなど防水性のある材料を用い、雨の時などにはく。ふつう、ブーツ(boot)型のものが多い。また防寒用の室内ばきもオーバーシューズと呼んでいる。
オープン・トウ
爪先の開いた靴のスタイルのこと。
オイル鞣し
動物油を使って皮を鞣(なめ)すこと。特別なソフト革の製造に使用する。一般に魚油が使われる。
おかめ飾リ
ウイングチップのこと。
押縁
細革のこと。靴の部品。
オックスフォード・シューズ
靴のスタイルの一種で、足のくるぶしより下でカットされた紐付きの靴で、普通「短靴」と呼ばれるもの。
オブリック・トウ
靴型・トウの形の一つで、爪先が外側へ斜めにカットされているものをいう。
オペラ・パンプス
夜のフォーマルウエアに用いる爪先に絹のリボン飾りのついたパンプスで、エナメル革や光沢のあるスムース革、または布でもつくられ、婦人用はハイ・ヒールつき、紳士用は低いヒールがついている。
表底
靴の底部の、床面に接する部分およびその材料のこと。本底。アウトソール。