指圧からSHIATSUへ
世界で認められ継承される浪越指圧

浪越徳治郎さんが指圧を生み出し、もうすぐ100年。
浪越指圧は代々受け継がれ、日本の国家資格としての指圧から世界のSHIATSUへと進化し広がり続けています。今回は浪越指圧3代目の浪越 孝さんと4代目を受け継ぐ友哉さんのお二人に、
浪越指圧の歴史や事業を受け継いでいくことについてお話を伺いました。


左/浪越 孝
1963年生まれ。
浪越指圧3代目継承者で、浪越指圧アソシエイツ代表取締役として、
指圧を中心に国内外の教育の推進に携わる。
様々な著名人との親交も深く、趣味はサーフィン。

右/浪越 友哉
1994年12月6日生まれの28歳。
幼い頃から指圧に触れ、大学卒業後、指圧の世界へ。
曽祖父であり浪越指圧の創始者である、浪越徳治郎さんの心技を受け継ぎ、4代目として活躍中。



 

-浪越指圧について教えていただけますでしょうか?-

 

浪越 孝さん(以下 孝さん) 
指圧の発祥は1925年です。祖父の徳治郎が6歳の時にリウマチになってしまった母親を自身の手で治したことが指圧誕生のきっかけとなりました。
当時住んでいた北海道の留寿都村は無医村のため、母親の痛がるところを兄弟で撫でたりさすったりしていたところ、
「徳治郎の手が一番気持ちいい」、「おすのがいい」と言われ、
手指の感触によって母親の症状を好転させたことが、指圧の原点となったのです。

 

浪越 友哉さん(以下 友哉さん) 

指圧は按摩やマッサージとよく混同されますが、按摩は揉んだり、叩いたり、こねたりする中国由来の手技療法です。
指圧は面に対して垂直におし、心臓からの動脈血を流すために身体の左側から始めて右側へと進んでいきます。
対して按摩やマッサージは心臓に向かって静脈血を流していく手法のため、身体に対するアプローチ方法が違います。


 

 

-現在では指圧は世界でも広く認知されていると伺いましたが、それはどのようなことがきっかけだったのでしょうか?-

 

孝さん 
私の父である2代目の浪越 徹が、英語で「SHIATSU」の本を出版したり、
オックスフォード イングリッシュ ディクショナリーに「SHIATSU」と掲載されたことが大きいですね。
また、2015年から2017年には聖路加国際病院と慢性腰痛に対する指圧研究を行い、アメリカの医学誌に論文が発表され、
指圧のエビデンスが高まりさらに世界に広がっています。


 



 

友哉さん 
曽祖父がマリリン・モンローやモハメド・アリなどの世界の著名人を指圧し、健康に寄与したことも大きいですね。
また父の代まで親子3代で歴代の総理大臣を指圧させていただいてきました。
私の世代でさらに指圧が世界中で広まるようなアプローチをしていければと考えています。



 



 

-創始者である徳治郎氏から、特に大切に受け継がれてきたことはどのようなことでしょうか?-

 

孝さん 
最も大切に受け継いできているのは「母ごころ」です。
「指圧の心 母ごころ おせば生命の泉わく」という徳治郎の言葉ですね。
患者様一人ひとり、自分の母親として接しなさいという教えは指圧の根幹として変わらずに守り続けています。

 

友哉さん 
私も曽祖父の徳治郎の想いをしっかり引き継ぎ、浪越指圧を継承していきたいと思っています。
幼い頃から指圧は身近にありましたが、自分が指圧師になるとは思っていませんでした。
指圧師としての父を目の当たりにし、あらゆる患者様に心身ともに親身になって接し、
指圧を通して人間関係を築き上げている姿を見て、自分も同じ道に進む決意を固めました。

 

孝さん 
友哉は子供の頃から私が家に帰るまで起きていて、指圧をして寝かせるというのが我が家の日課でした。
さらに指圧を進化させていくためにも、長所を伸ばして成長していってほしいと思います。
先代たちの素晴らしいところを学び引き継いでいるので、私から見ても今までで最も高い技術を習得していると思います。



 




 

友哉さん 
父とは親子でありながら、師弟ですし、ライバルでもある、そんな関係性ですね。

 

孝さん 
祖父は、物事が成就するためには「発心(心に思う)」「実行」「継続」の3つの要素が必要であるという言葉をよく語っていました。
息子はもちろん、弟子たちにも受け継いでいくことが私の役目だと考えています。


 



 

-マドラスと同様に約100年の歴史を持つ浪越指圧ですが、さらにどのような進化を目指していますか?

 

友哉さん 
もっと人間味のある指圧師を増やしていきたいと思っています。
指圧師の心が豊かであれば、指圧を受けた患者さんの心も豊かになり、大切にされることの重要さを感じていただけるのではないかと考えています。
そうして人と人とのつながりを紡いでいきたいですね。
世界にSHIATSUという言葉は広がりましたが、正しいSHIATSUを理解してもらいたいと思っています。
そして指圧は身体に不調が出てから受けるものではなく、
健康のために若いうちから積極的に取り入れてもらえるような活動をしていきたいと考えています。



 



 

孝さん 
人間の身体は解剖学的には構造や機能は不変のものですが、時代に応じて生活習慣は変わります。
現代社会では、パソコンやスマホなどの多用によって前屈することが多くなり、ストレートネックなどの問題が生じています。
同様に硬い平らな道を歩くことが多くなった現代人にとって、足への負担も大きくなっています。
マドラスが開発されたmetaインソールは、足裏から正しい姿勢をキープできるということが大変素晴らしい点。
指圧も時代に合わせて進化していくことが大切です。
そして健康で元気に歳を重ねるために、
健康長寿の5原則である「快食」「快眠」「快通」「快動」「快笑」を身につけていただくことを推進していきたいと思います。
祖父が「指圧の心 母ごころ おせば生命の泉わく」の後、必ず「ワッハッハー」と大笑いしていたのも納得ですよね。

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