マドラスのニューモデルをチェック!
靴選びのポイントを干場義雅が徹底指南!

およそ100年という長きにわたってレザーシューズを作り続けてきたマドラス。日本を代表するシューズメーカーには、日本人の足形にマッチした木型づくりやレザーの仕上げ方法など、さまざまな技法が受け継がれている。今回はそんな名門の叡知が結集された最新モデルにフォーカス。『FORZA STYLE』の編集長を務め、さまざまなブランドをプロデュースするファッションディレクター、干場義雅さんが、日本のビジネスパーソンに靴選びのポイントを指南する。

干場義雅(以下、干場)「ビジネスパーソンにとって第一印象が大切なのは言うまでもありません。そして印象とは“見た目”ですから、装いが極めて重要になります。では、ビジネスパーソンにとってどのような装いがベストなのか? その基準は、ブランドや値段ではなく、とにかく相手の信頼を得ることができるかどうか。ビジネスは相手とお金のやりとりをすることですから、まずは信頼を勝ち取ることがすべての始まりです。

たとえば、靴の場合。まずはかっちりとしたスーツに合わせる一足を。とびきり高いブランド靴でなくても、由緒のあるきちんとしたメーカーを選びたい。レザーに高級感が感じられて、姿かたちが洗練されているもの。カラーは黒か明るすぎないブラウン、デザインはストレートチップやプレーントウが最適です。

ただ、どんな着こなしでも黒のストレートチップ、というのも、人間的な面白みが感じられません。明るいブラウンやローファー、サイドレースなど、上品な色気が感じられるファッショナブルな一足を足元のワードローブに加えましょう。こうしたシューズは、スーツはもちろん、ジャケパンスタイルとの相性もよく、履いている人間の美意識をさり気なく主張してくれます。

また、靴は歩くための道具でもありますから、機能性も軽視できません。長距離を歩いたり、長時間の立ち仕事に備えて、機能的な靴を用意しておきたい。軽くて履き心地がよくて、雨に濡れた道を歩いても滑りにくいもの。日本の夏は高温多湿なので、蒸れを防ぐ機能を持つシューズもビジネスパーソンの頼れる味方となるでしょう。

女性の場合も靴を選ぶ基準は男性とほぼ同じ。相手の信頼を得られるかに尽きます。ただ、ビジネスの装いとはいえ、女性らしさを完全に排除したおカタイだけの靴は得策とは思いません。派手に映るのはご法度ですが、素材や色使いで、女性らしい華やかさや季節感を演出する靴のほうが、好感度を得られる確率が上がるはずです。

以上がビジネスシューズに対する私の考えです。そんなことを踏まえながら、マドラスのニューモデルがビジネスパーソンにいかなる恩恵をもたらすのか、しっかりとチェックしていきたいと思います」

イタリア靴らしい上品な色気を体現するブランド

右/「ドレスカジュアルシリーズ」の一足。アッパーはアンティーク加工が施されたイタリア製のキップレザー。中底には軽量性と反発性を兼備したKaRVOを、インソールの踏みつけ部分には、防臭・防菌・防カビ機能を持つ素材NEW FINEを搭載する。
「M418」 2万1000円+税

左/楔や矢尻を意味する「SPINAシリーズ」から。アッパーは手塗り感のある染色を施したキップレザーで、アウトソールには水に浮くほど軽量な新開発のラバーを使用。KaRVOの中底とNEW FINE搭載のインソールで履き心地もじつに快適だ。
「M411」 2万5000円+税

まず、干場さんにチェックしてもらったのが、社名を冠したフラッグシップブランド「マドラス」から。1946年にイタリアのヴェネツィア郊外のバッサノで誕生し、1965年に日本上陸を果たした。イタリアの伝統的なクラフトマンシップを継承しつつ、現代的なデザインを取り入れた靴が特徴だ。

干場「さすがは最上級ブランド。すらりと伸びたプロポーションといい、味のあるレザーの色ムラといい、イタリア靴を思わせる色気が漂っています。かっちりとしたスーツはもちろん、ジャケパンスタイルにもマッチするでしょう。色気はありますが、デザインはクラシックなので、印象はあくまで上品。ビジネスシーンでも華美に映る心配はないでしょう。価格は2万円台ですが、確実にプライス以上の高級感が感じられます」

上質な遊び心をアピールするモダンなデザイン

右/サイドレースと呼ばれる欧州の高級注文靴に見られるデザイン。ロングノーズのフォルムと相まって、モダンな印象を強める。色ムラが印象的なアッパーは職人が牛革を一足ずつ手で塗り上げたもの。つま先部分にはメダリオンがあしらわれている。
「DM7202」 1万6000円+税

左/房飾りとつま先のモカ縫いが特徴のタッセルローファーには、防水透湿性に優れたeVentと呼ばれるテクノロジーを搭載。雨の日でも安心して履くことができる。抗菌防臭機能と通気性に優れたインソールもポイント。
「DM3123」 1万7000円+税

次はマドラスのセカンドラインに位置づけられる「モデロ」のニューモデルをチェック。1990年にデビューした「モデロ」は、アクティブ&カジュアルなライフスタイルにマッチするデザインと履き心地のよさを重視したブランド。ビジネスシューズとして使えるクリーンなデザインながら、遊び心を感じさせるトレンド感をミックスしたシューズが特徴だ。

干場「黒のストレートチップなど、どんなシーンにも臨めるクラシックなシューズを押さえたら、次はこうしたファッショナブルな靴を選んでみては? 上質な遊び心を感じさせるデザインは、履いている人間の美意識と個性をさり気なくアピールしてくれます。サイドレース(写真右)はダークカラーのスーツに、房飾りのついたタッセルローファー(写真左)はジャケパンスタイルにコーディネートしたいですね。アンティークな雰囲気が漂う色ムラも着こなしのアクセントになるでしょう」

ゴアテックス プロダクトのテクノロジーが搭載された機能性シューズ

右/ゴアテックス ストレッチ コンストラクションが搭載された軽量スニーカーシリーズ。雨の浸入を防ぎつつ、靴内をドライにキープする防水透湿性に加え、優れたストレッチ性を実現する。フィット性に優れ、脱ぎ履きもスムーズにおこなえる。
「MW8033」 1万4000円+税

左/顔つきはビジネスシーンにぴったりな内羽根式のストレートチップながら、ゴアテックス サラウンド® プロダクト テクノロジーによって防水透湿性が高められた一足。靴の底面からも蒸れた空気を逃がすことで足元を涼しくドライに保つ。
「MW5630S」 2万1000円+税

機能美のある靴を追求するブランド、「マドラス ウォーク」。高感度、高品質、超軽量を実現したシューズは、ビジネスや旅行、ウォーキングなど幅広いシーンで活躍するものばかり。コンフォートな履き心地はそのままに、スマートなルックスを実現しているのも人気の理由だ。

干場「このブランドの注目すべき点は、アウトドアアイテムでおなじみのゴアテックスが搭載されていること。水の浸入を防ぎつつ、内側の湿気を放出する機能性素材は、シューズでも大きなアドバンテージになります。防水性はもちろん、特に高温多湿な日本の夏場では、蒸れを防げる機能はありがたい。そしてそんな機能性を持つ靴でありながら、デザインはあくまでスマート。ビジネスパーソンはもちろん、都市生活者の強い味方となる靴です」
 


干場「さすがは日本を代表するシューズメーカー。間近で見ても、ディテールや仕上げに隙が見当たりません」

トレンドエッセンスと快適な履き心地を両立

手前/丸みを帯びたつま先が印象的なシンプルスリッポンは合わせる着こなしを選ばない万能シューズ。淡いブルーのボディはデニム風プリントが施されたピッグスエードで、つま先の一文字と履き口は、シルバーでパイピングされている。
「MAB4004」 1万8000円+税

奥/‘60年代のレトロなムード漂うミドルヒールのバックベルトパンプス。アッパーの素材はソフトなヤギ革で、パステル調のベージュがエレガントな雰囲気を醸し出す。足のラインをきれいに見せるポインテッドトウの優美なフォルムもポイントだ。
「MAB7018」 1万8000円+税

「マドラス」のレディスラインには、カラーや素材使いなどにトレンドエッセンスがふんだんに取り入れられたシューズが揃う。それでいて日本人女性の足形に合う木型を使うなど、履き心地のよさも追及されており、女性のビジネスパーソンたちからの信頼も厚い。

干場「マドラスのレディスラインには、それぞれにトレンドエッセンスが巧みに取り入れられています。ベージュのパンプス(写真奥)は、近年人気再燃中のミドルヒールのバックベルトタイプ。ブルーのスリッポン(写真手前)はデニム風のプリント加工に旬を感じます。トレンドを取り入れながらも、デザインはベーシックなので、コーディネートの幅も広い。オンオフともに幅広く使えるシューズだと思います」

カラーリングや素材使いで品のある華やかさを実現

右/使いやすさが好評なスクエアデザインが特徴の定番パンプス。甲部分にはスタッズがデザインされた直線的なリボンがあしらわれている。シープスキン製のソフトなアッパーや歩きやすいウェッジヒールなど、履き心地も◎。
「DML4000」 1万4000円+税

左/つま先のとがったポインテッドトウを持つ人気モデルをバージョンアップ。ブロンズカラーのアッパーとメダリオン風のパンチングデザインが華やかなムードを演出しつつ、ブラックのリボンとトップラインが全体の印象を引き締める。
「DML5150」 1万2000円+税

「モデロ」はマドラスの数あるブランドのなかでも、とりわけファッション性が重視されたブランド。レディスもシューズトレンドがふんだんに取り入れられた、女性らしい華やかさを感じさせるモデルが充実している。

干場「モデロのレディスには、好感度の高い女性的な華やかさがそなわっています。スクエアなトウを持つベージュのパンプス(写真左)は、リボンにスタッズがあしらわれた甘辛ミックスなデザインが魅力的。定番デザインのポインテッドパンプスは、メタリックなカラーとパンチングアッパーに華やぎを感じます。しなやかな肌触りのアッパーや軽い作りなど、履き心地もよさそうです」
 

大人の女性にこそ似合うシックなコンフォートスニーカー

手前/ネイビーのワントーンカラーが落ち着いた雰囲気のスニーカーはゴアテックス ストレッチ コンストラクション シリーズの一足。ミッドソールは軽量かつソフトはEVAソールで、アウトソールはグリップ力に優れたラバー製。雨の日も快適な歩行をサポートする。
「MWL1004」 1万4000円+税

奥/同じく防水透湿性に優れたゴアテックス ストレッチ コンストラクション シリーズから。レザーが使用されたシンプルなスリッポンデザインとワントーンのシックなカラーリングのおかげで、合わせる着こなしを選ばない。履き口にはスムーズな着脱を可能にするストレッチ素材を使用。
「MWL1006」 1万5000円+税

旅行やウォーキングに対応する快適な履き心地を追求する「マドラス ウォーク」。レディスのラインナップは、コンフォート性に加え、余分な装飾性が削ぎ落されたシンプルなデザインが持ち味。その機能美デザインは、大人の女性の足と心にフィットする。

干場「スニーカーブームということもあり、スポーティなスニーカーは世の中にあふれています。ただ、カラフルな色が使われていたり、ロゴが大きくデザインされていたり、大人の女性の着こなしにしっくりくるスニーカーはなかなかありません。その点、マドラス ウォークは、奇をてらわないベーシックなデザインやワントーンカラーなど大人の落ち着きを感じさせるものばかり。履き心地はもちろん、私はこのデザイン性を高く評価します」


干場「まさに才色兼備。快適な履き心地を実現しながらも、女性らしさを見事にキープしています」

干場 義雅さん ほしば よしまさ
『FORZA STYLE』編集長(講談社)/ファッションディレクター

『LEON』や『OCEANS』など数々の人気男性誌を手がけたのちに独立。株式会社スタイルクリニックを設立し代表取締役に就任。フジテレビ『にじいろジーン』、テレビ朝日『グッド!モーニング』、日本テレビ『ヒルナンデス』、テレビ東京『なないろ日和』などテレビ番組でもおなじみ。著書は『世界のエリートなら誰でも知っているお洒落の本質』(PHP出版)、『一流に学ぶ色気と着こなし』(宝島社)、『干場義雅が教える大人カジュアル 究極の私服』(日本文芸社)など。新聞、テレビ、雑誌、ラジオ、トークショー、イベントなど活動は多岐に及ぶ。現在は動画を中心に上質なライフスタイルを提案する講談社のウェブマガジン『FORZA STYLE』の編集長を務める。



日経ビジネス電子版 SPECIALから転載

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