その「生き様」にフィットする一足

読売巨人軍外野守備走塁コーチ 鈴木 尚広 × マドラス

雌雄を決する9回裏。代走でその名がアナウンスされると、球場が割れんばかりの大歓声で包まれた。背番号12番、代走のスペシャリストとして球界にその名を轟かせた鈴木尚広、その人だ。いくつもの局面をくぐりぬけた経験を後進に伝えていくことを期待され、読売巨人軍外野守備走塁コーチに就任することとなった。鈴木氏が自らのアイデンティティとして磨き続けてきた「足」へのポリシーを紐解きながら、マドラスオーダーシューズシステム「MOSS」で新たな一足との出会いを追う。

出番はすべて正念場「準備」が信念の現役時代

塁間27.431m、時間にしてたった約3秒。一瞬の走りにすべてを賭けるその姿は大きな使命を背負ったヒーローのように映った。そうして達成した通算盗塁成功率82.9%は、日本プロ野球記録歴代2位だ。「必然的に、レギュラーメンバーよりは圧倒的に運動量が少ないんですよ」と振り返る鈴木氏の球場入りは、必ず試合の7時間前。チームの誰よりも早く球場に現れ、入念な準備のもと出番に備えるその姿は今でも語り草となっている。「自分の中にどう余裕を生んで、いかにメンタルをクリアにできるかを常に考えていましたね。それまでベンチにいた自分が、突然勝負の場に駆り出されるわけですから」。限られた場面で結果を出さなければならない代走というポジションの重圧は、想像を遥かに超えていたという。「あらかじめピッチャーの情報をインプットして分析しておくことも戦略の一つ。あとはほぼスタートで決まります。基本的にピッチャーがモーションに入った瞬間にスタートを切るんですが、いい時は自分が動いてからピッチャーが動く感覚に陥る。スタートの瞬間、セーフを確信します」。極限まで研ぎ澄まされたその感覚は、常人を凌駕したものだった。

どんなにいい靴でも「履かされない」こと

「準備は自分を裏切らない」とは、鈴木氏が掲げる座右の銘。フィジカル、メンタルに限らず「道具をきちんと扱わないのは、アスリートとしてありえないと思っていました」。とりわけスパイクに関してはやはり特別な思いがあった。「体の一部になるものですから、どんなにいい道具でも、自分がそこに見合っていないと。履かされてはいけないんです」。シーズン中に使うスパイクはこれと決めた一足。試合後は真っ先に磨き、常にベストなコンディションを保つよう心がける。新しく同じ型のものを作った場合でも、自分のフィーリングに合わない場合は履かない。バットやグラブもそうだが、まさしく“商売道具”であったスパイクはそのケアひとつとってもストイック極まりなかったようだ。2016年、惜しまれつつ現役を退いた後は、スポーツ解説者に始まり企業アドバイザー、少年野球のコーチ、フルマラソン(!)など枚挙にいとまがないほどその活動は精力的だ。その秘訣はどこにあるのか。「自分の強みばかりで勝負していると自分が狭いような気がしてしまって。とにかく新しいことにチャレンジし続けたい。考えるよりも先に足で何かを動かしたいんです」。

「変わらぬこだわりと純粋さ」が自分とマドラスの共通点

そんな鈴木氏がマドラスでシューズをオーダーするのは、なんとこれで2度目。以前オーダーしたのはドレスにもカジュアルにも使えるシンプルなダークブラウンのストレートチップ。「ほぼ毎日履いていますよ。不動の1番バッターです(笑)。デザインもフィット感も自分に馴染んでいて、手放せませんね」。スパイクもしかり、靴もしかり、これと決めたものとの付き合いはおのずと長くなるそうだ。「いいものは離れる理由がないですから」と、にこやかに言い切る。「見た目はもちろん、機能性も兼ね備えている靴がベストです。その意味でマドラスのオーダーシューズは革質も含めて履けば履くほどオリジナルな一足になる」。やはり“足の人”である。フィールドは変わっても、自らの可能性を切り拓いてきた足へのこだわりは忘れない。そんな鈴木氏と創業100年を目前にしたマドラス、両者の共通点を鈴木氏は「変わらぬこだわりと純粋さ」だと言う。「突き抜けるためには信念がクリアじゃないといけない。僕もずっとそうしてきました。こだわりを持って勝負し、生き抜いた結果が伝統になり、歴史になったのでは」。分野は違えど、長きにわたってその歩みを決して止めることのない二つの“職人魂”が、一足の靴を通じて共鳴し合っているように見えた。



 

納得の一足は
どのようにして出来上がったのか

以前にもプライベートでマドラス銀座本店を訪れていた鈴木氏。今回新たにオーダーする一足のイメージと、その完成までを追った。

01.カウンセリング

鈴木氏が選んだのは、足入れしやすいローファー

「週に3〜4日はスーツスタイルです」という鈴木氏だが、前回オーダーしたストレートチップとは趣向を変えたもう一足を持っておきたい、とのご要望。今回はシンプルなリラックススタイルに合うローファーをセレクト。

02.採寸

立ち姿勢と座りの両方でレングス、ウィズを採寸

立ちと座りでは体重のかかり方が異なり素足のフォルムに若干の誤差が生まれるため、両方の状態でレングス、ウィズ(足幅)をきめ細かく採寸。前回オーダー時のデータや、1足目の靴の状態も加味しながらベストなサイジングを探る。

03.セレクト

エレガントなチゼルトゥにキャメルのスエードをチョイス

靴先の形状は、ノミで削ったようなシャープさが特徴で、最もエレガントなフォルムのチゼルトゥをセレクト。素材は秋冬らしいトレンド感のあるキャメルのスウェードに決定した。

04.フィッティング

足まわりのフィット感を確認自分だけの一足まであと少し

アッパーとソールを仮止めした状態で足入れし、履き心地を確認。スタッフが手で触れたり目視で確認し、実際に履いた感想も伺い完成に向け反映させる。採寸データだけでなく1足目の靴から見て取れた体重のかかり方や、デザインの特徴も加味し、今回は指周りにゆとりを持たせ、甲部分はややタイトにして足入れ時のフィット感を重視した。

05.完成

「今までにない一足」と大満足の仕上がりに

オーダーから約2ヶ月後、待ちに待ったオーダーシューズが完成。「まるで他球団に来たぐらい今までの自分にはない一足です(笑)。新ジャンルに挑戦できます」と鈴木氏。「コーディネートが今から楽しみ」と大満足の仕上がりだ。

※混雑時には3〜4ヶ月お時間がかかる場合もございます。

PROFILE


 

読売巨人軍外野守備走塁コーチ、スポーツコメンテーター
鈴木 尚広(すずき・たかひろ)

1978年、福島県相馬市生まれ。1996年にドラフト4位指名で読売巨人軍に入団。以降20年間、名実ともに球史にその名を刻む「代走のスペシャリスト」としてファンからの信頼も厚く、数度の優勝に貢献した。通算盗塁成功率82.9%は日本プロ野球記録歴代2位。2016年の現役引退後はスポーツ解説にフルマラソン参加、企業アドバイザー就任、地元福島の支援などフィールドを問わない精力的な“走り”で人々を魅了し続けている。2018年、その功績を買われ、読売巨人軍外野守備走塁コーチに就任。


 

今回ご紹介したマドラスオーダーシューズシステム(MOSS)は、現代まで受け継がれた靴作りの伝統と技術を用い、「貴方だけの一足」をお作りするシステムです。

マドラスオリジナルカラースニーカー(MOCOS)は、全6兆パターン以上の組み合わせから「あなたの一足」をお作りするシステムです。
選ぶ楽しみ、履く楽しみ、大好きな人とお揃いで
作る楽しみ、プレゼントする楽しみ。
彩り豊かなあなたの楽しみがここにあります。

SNSでシェアする