公開日:2022年12月2日
最終更新日:2022年12月2日
目次
01|革靴の基本知識
02|革靴の種類
03|シーンに合わせた革靴の選び方
04|まとめ
〇革靴の基本知識
ビジネスマンが知っておくべき革靴の基礎知識
●革の種類
ビジネスシューズには質感のいい本革がおすすめ。
ビジネスシューズに使われる素材は、大きく分けると「本革(リアルレザー)と「フェイクレザー」の2種類があります。
近年は製造技術が進化して、本革とフェイクレザーの見分けがつかないものも多くなっています。
価格面や扱いやすさからフェイクレザーを使用したビジネスシューズが増えていますが、
フェイクレザーはいくらお手入れしても経年劣化を避けられないのが大きな欠点。
その点、本革は修理をしながら長く履くことができるので、ビジネスシューズにはやはり
本革を使用したモデルがおすすめです。
そこで、まずはおもな本革の種類を紹介します。
・牛革
靴に使用されるレザーとして、最もポピュラーな革です。
同じ牛でも年齢や性別によってカーフ、キップ、ステアなど、名称が異なります。
・馬革
主に裏側として使用されるほか、甲革や中敷にも使用。
馬のお尻の部分はコードバンと呼ばれ、特に繊維が緻密で光沢が美しいこともあって、
高級品に使用されます。
・豚革
革の表面に毛穴が3つ見えるのが特徴。摩擦に強く、軽量で、通気性にも優れるため、
靴の裏革としてよく使用されます。
・羊革
毛穴が小さく、きめ細かく柔らかいのが特徴です。
子羊の革はラムスキンと呼ばれ、区別しています。
・山羊革
羊よりやや硬く、毛穴がきれいで繊維が緻密です。
また、耐摩耗性に優れているという特徴があります。
・カンガルー革
丈夫でしなやか、かつ軽いという特徴があります。
ビジネスシューズのほかに、サッカーシューズなどにも使用されます。
●つま先の種類
革靴の個性はつま先のデザインで決まる!
革靴にはたくさんの種類があり、その一つひとつに服装やシーンに適したキャラクターがあります。
特につま先の形(デザイン)によって、靴の個性が際立ちます。
そこで、ビジネスシューズに適したつま先の種類について解説します。
・プレーントゥ DM7274
甲やつま先に装飾やステッチが施されていない、シンプルなデザイン。
見た目がシンプルなために、革の質や靴自体のフォルムの良し悪しが表れやすいのが特徴です。
カジュアル、フォーマルのどちらでも使用することができます。
・ストレートチップ M421
甲からつま先にかけた部分に、切り返しの線が入ったデザイン。
切り返しのおかげでつま先にしわが付きにくいため、美観を保ちやすいというメリットがあります。
ドレスシューズの基本となるデザインで、冠婚葬祭に最も適していると言われています。
つま先にキャップを被せているように見えることから、「キャップトゥ」とも呼ばれたり、
横一文字の縫い目部分に穴飾りが施されている場合は「セミブローグ」と呼ばれたりします。
・Uチップ MW8001
U字型のモカシン縫いでアッパーを縫い合わせたもの。
そのため「モカシン」、あるいは「Vチップ」と呼ばれることもあります。
ビジネスシューズとしてはカジュアルな印象が強いですが、服装に合わせやすく
汎用性の高い靴でもあります。縫い目がV字に近くなるほどつま先がシャープになるため、
ドレッシーな印象になります。
・ウィングチップ JD5522
つま先にW字型の装飾があるデザイン。
Wの装飾が鳥の翼(wing/ウィング)のように見えることから、そう呼ばれるようになったと言われています。
W字型の部分に穴飾りが施されている場合「フルブローグ」とも呼ばれます。
ちなみに、つま先部分に小さな穴がたくさん開いた装飾のことを、「メダリオン」と呼びます。
・スワールモカ DMW604G
甲からつま先にかけてのステッチがUチップのようにつながっておらず、
つま先に流れているデザイン。
カジュアルさが強いため冠婚葬祭に向いていませんが、その代わりにカジュアル&ビジネスの
両面で使用できるメリットがあります。
・センターシーム MW7601
履き口からつま先にかけて縦方向に伸びた縫い目が施された、伝統的なデザインの靴。
つま先の空間をゆったりとさせるという機能性と、縦方向に伸びた縫い目のおかげで
足を長く見せるという視覚的効果があります。
●内羽根と外羽根の違い DM7501 M453
羽根のデザインが革靴のキャラクターを決める!
ほとんどの革靴は「紐靴」に分類され、紐を通す穴が並んだ革の部分をレースステイ、日本語では羽根と呼びます。
革靴は「羽根(レースステイ)」のデザインによって印象が変わり、それによって適した服装・シーンも変わってきます。
「内羽根」は羽根が甲の部分と一体、もしくは甲の前分部の革に入り込んでいるパターンの靴のことです。
上品で落ち着いた雰囲気がり、エレガントかつフォーマルな印象が強く、一般的には冠婚葬祭や室内勤務に適しています。
「バルモラル」と呼ばれることもあります。一方、「外羽根」は羽根が甲の上に乗っているようなパターンのこと。
羽根の部分が全開になるので靴の脱ぎ履ぎを素早く行うことができることもあって、
狩猟や屋外労働などに用いられてきました。
「スポーティさ」「軽快感」といった、比較的カジュアルな印象を与えるのが特徴です。
「ブラッチャ―」と呼ばれることもあります。
●デザインの種類
ビジネスマンのスタイルに影響するシューズデザイン。
平日のスーツスタイルや休日のカジュアルファッションなど、ビジネスマンのお洒落に必要不可欠な革靴。
その革靴のデザインはさまざまあり、選び方・履き方次第で場合によってはマナー違反のトラブルにもなりかねません。
そこでビジネスシューズの定番とも言えるデザインを紹介します。
・モンクストラップ M4403
その名が示すとおり、モンク(修道僧)が履いていたくつが起源。
ストラップとバックルで甲の部分を締めて固定する短靴のことです。
ストラップが2つある場合は「ダブルモンクストラップ」と呼ばれます。
・ローファー M424
紐や留め具のないスリッポン式で、簡易的に脱ぎ履ぎができることもあって、
ローファーには「怠け者」という意味があります。
U字型のモカにコインストラップという飾り紐がついていることが特徴で、
またアッパー部分にタッセルと呼ばれる房飾りやビットと呼ばれる金属アクセサリーが付いたものもあります。
・チャッカブーツ MW9706
くるぶし丈のショートブーツの一種で、靴紐の穴が2~3組のデザインがほとんど。
乗馬競技のポロにルーツがあり、ポロの試合時間の単位であるチャッカが名前の由来と言われています。
・サイドゴアブーツ M455
本体の両サイドに、ゴムを織り込んだ生地を挟み込んだ深靴。
「アルバートブーツ」「チェルシーブーツ」と呼ぶこともあります。
・サドルシューズ JD5511
つま先部分と甲の部分などで、材質や色合いが異なるものを組み合わせたデザインの靴。
甲の部分が馬のサドルに似ていることから、この名前が付いたと言われています。
・キルト
フリンジのようなキルトが、甲の部分に装飾されているデザインのこと。
もともとは泥除けの用途として使われていましたが、現在では靴の印象を変える装飾
パーツの意味合いが強くなっています。カジュアルシーンに適しています。
●靴底の種類
ビジネスシーンや用途に合わせて靴底をチョイス!
革靴=ドレスシューズの底は「革底」が定番ですが、実は革靴の靴底にはいろいろな種類があります。
大きく分けると「レザーソール」「合成ゴムソール」「ラバーソール」の3タイプあり、
さらにラバーソールは「ダイナイトソール」「リッジウェイソール」「ラグソール」「クレープソール」「スポンジソール」
等があります。
ビジネスシューズにはフォーマルユースを考慮してレザーソールが望ましいですが、デスクワークよりも屋外勤務(営業など)が多い場合には
耐久性や歩行性を優先して合成ゴムソールやラバーソールの方が向いています。
●革靴のパーツの名称 M4402
革靴を選ぶ際に覚えておくべき必須用語
革靴にはさまざまなパーツが組み合わされて、一足の靴に仕上がっています。
その名称を知っていないと、ショップで靴を選ぶ際、スタッフの話を理解できないことがあります。
そこで、ビジネスシューズの各パーツについて解説しましょう。
・トゥ/つま先周辺のこと。
・ヴァンプ/トゥの後方。甲の革のこと。
・クォーター/踵と側面を覆う革。腰革。
・カウンター/踵を包む補強部分。
・ヒール/踵のブロック状の部分。
・レースステイ/靴紐の穴がついた革。羽根。
・タン/レースステイの内側にある、紐靴から足の甲を保護する革。
・アイレット/靴紐を通す穴のこと。
・コバ/ソールやヒールの側面の部分
・アッパー/ソールの接合箇所より上の本体部分のすべてのこと。
・ライニング/靴の裏地のこと。踵部分はカウンターライニングとも呼ぶ。
・バックステー/踵の縫製をカバーするパーツのこと。
かんぬき止め/レースステイの最下部にある補強パーツ。
トップライン/履き口の最頂部のこと。
〇革靴の種類
ビジネスマンに最適なビジネスシューズ厳選10タイプ
・ストレートチップ DM801G
つま先と甲の間に横一文字の切り返しの線が入ったデザインの革靴を、
ストレートチップまたはキャップトゥと言います。
特に黒の内羽根ストレートチップはフォーマル度が高くなるため、ビジネスマンには必須の靴と言っていいでしょう。
一方、外羽根タイプのストレートチップはややカジュアル感が強まりますが、
色が黒であれば冠婚葬祭でも履けます。
どちらにしても、色をブラウンにすればチノパンに合わせることもでき、カジュアルシーンでも履くことができます。
・ウィングチップ DM9603
つま先に鳥の翼(ウィング)を模したW字型の切り替え線が入った革靴を、
ウィングチップまたはフルブローグと呼びます。
基本的には穴飾り(ブローギング/パーフォレーション)やメダリオンが施されているのが特徴
(希少ですが、穴飾りのないウィングチップもあります)。
カジュアルな印象が強いためフォーマルな場面では履けませんが、特に黒いウィングチップは
どんな色&柄のスーツとも相性は抜群。
また、ブラウンのウィングチップはチノパンやデニムに合うので、カジュアルスタイルにぴったりです。
・Uチップ DA2508
甲からつま先にかけてU字型に切り替えられている革靴のことをUチップ、
V型の場合はVチップと呼びます。原型となったのはノルウェーの漁師靴という説があり、
「ノルウェーフロント」と呼ばれることもあります。
この靴の歴史を見ると、カントリーシューズやゴルフシューズといったアウトドア的な用途があるため、
ソールはリッジウェイソールなどのラバーソールが採用されています。
そのためスーツスタイルには不向きと思われがちですが、
日本ではビジネスシューズとして通用しています。
特に黒のUチップがおすすめです。
・プレーントゥ M422
つま先に装飾や切り返し、縫い目がなく、つるんとしたシンプルな見た目が特徴。
外羽根タイプのプレーントゥは、特に黒色は冠婚葬祭などのフォーマルなシーンでも履くことができます。
もちろんスーツとの相性も良く、色や柄を選ばないので、ビジネスマンは1足持っておくといいでしょう。
ただし、シンプルなフォルムゆえに、その靴の素材やデザインの良し悪しが分かりやすいのがデメリットでもあります。
プレーントゥを買う際は、素材やデザインを吟味しましょう。
・ローファー M416
靴紐や留め金を必要とせず、脱ぎ履ぎが用意にできることもあって、「怠け者=ローファー」という名前が付きました。
そんなネーミングからややカジュアルな印象が強くなりますが、
ビジネスカジュアルやクールビズスタイルには十分に通用します。
チノパンやデニムと合わせた、ビジネスマンの休日コーディネートにはぴったりです。
「ローファー」と聞いて真っ先にイメージするのは、サドルという飾り房が付いたタイプ。
この飾り房の隙間に1セント硬貨(ペニー)を挟むことがアメリカの学生達の間で流行ったことから、
ペニーローファーやコインローファーという名前が定着しました。
・チャッカブーツ MW9706
くるぶしまでの丈で2~3組のアイレットを持つショートブーツのことで、
アッパーはつま先と腰革の2パーツで構成されています。
伝統的にはカーフのスエードが使われますが、ここ最近ではスムースレザーを使用するなど、
いろいろなモデルが展開されています。
いずれにしてもカジュアル感が強い外見と、そもそもスポーツ由来であるため(乗馬のポロ競技がルーツ)、
ダークスーツなどのフォーマルな装いには向いていません。
ただし、スムースレザーで色が黒のチャッカブーツであれば、ブラウンスーツかストライプ計スーツと
合わせればビジネスシーンで履いてもいいでしょう。
・サイドゴアブーツ M455
サイドゴアブーツは本体の両サイドにゴムを織り込んだ生地を使っていることもあって、
「カジュアルでしか履けない」と思っている人が少なくありません。
しかし、サイドゴアブーツには1830年にヴィクトリア女王のために作られたという由緒正しい起源があり、
実はかなりフォーマル寄りなキャラクターを持っているのです。
とは言え、日本のフォーマルな場ではまだまだブーツNGなイメージが強いため、
ビジネスシーンで履く際には気を遣いましょう。
シンプルかつスマートなフォルムゆえに、スーツスタイルにはよく似合います。
もちろん、休日のカジュアルファッションに合わせることもできます。
・サドル JD5511
プレーントゥの革靴の羽根の部分に、
乗馬の鞍(サドル)型のレザーパーツを使用した革靴をサドルと呼びます。
発祥のイギリスでは「サドルオックスフォード」という名前で親しまれ、
スーツに合わせやすいワントーンかつレザーソールが一般的でした。
その後、アメリカに渡るとアイビーリーガー達に支持され、
アッパーとサドルの色や素材を変えたツートーンタイプが大流行。
ソールもラバーソールが普及しました。
イギリスで人気のサドルならビジネスシーンによく似合いますが、
アメリカで流行ったタイプのサドルはカジュアルファッションと合わせるのが無難です。
・ヴァンプ AB8006
力強くうねるようなモカシン縫いが特徴のヴァンプは、
カジュアルなスタイルにベストマッチングな革靴ですが、
アイビーリーガー御用達のローファーと比べると、ややワイルドな印象を与えます。
そういう意味では、スーツに合わせやすいシルエットとはいえ、コーディネートには注意が必要かもしれません。
ネイビースーツや明るいグレースーツと合わせるといいでしょう。
逆に、革ジャンやミリタリー系ジャケットと合わせた、アメカジスタイルにも相性抜群です。
・モンクストラップ M4403
ストラップが1本のモンクシューズを「シングルモンク」、
ストラップが2本のモンクシューズを「ダブルモンク」と呼びます。
もともと修道士=モンクが履いていた靴がルーツですが、
英国王室で履かれたことでドレスシューズの地位を確立。
紐が無い靴の中では最もフォーマル度が高く、冠婚葬祭やパーティにも通用する革靴です。
もちろんスーツスタイルとのマッチングも良く、
スーツの色や柄を選ばないのが魅力です。
カジュアルファッションとも相性がいいので、1足持っておくと便利です。
〇シーンに合わせた革靴の選び方
シーン別・失敗しない革靴選び
・シーン1:ビジネス
仕事では年上の上司や大事なクライアントと対面しなければいけないため、
あまりにカジュアルなイメージの靴は避けた方がいいでしょう。
つま先のデザインはストレートチップやプレーントゥであれば問題はなく、
黒をメインとしてそのほかに茶色を持っていればほぼカバーできます。
またウィングチップやモンクストラップでも黒であれば、ネイビーやグレーのスーツに
合わせることができます。
仕事柄、毎日スーツを着なければならないのであれば、今お薦めしたタイプを揃え、
スーツの色や柄に合わせてコーディネートすると、1週間の着回しができるでしょう。
スエード素材とUチップの靴はカジュアル度が高いので、ビジネスシーンには不向きなので要注意!
・シーン2:リクルート
リクルートのシーンでは相手に与えるイメージが最も肝心です。
ですので、革靴選びにも相応な注意が必要。
特に面接の時には対峙した面接官はあなたの服装を厳しくチェックしますし、
4~5人一緒の場合は他の人と比較するからです。
そんなシビアなシーンでまず間違い無いのは、内羽根式のストレートチップです。色は黒!
もしくは装飾が一切無いプレーントゥでもいいですが、必ず紐靴であることが鉄則。
カジュアルな印象を与える茶色、ステッチが目立つウィングチップはNGです。
また、面接官は靴の汚れや傷みもチェックするので、就職活動中はこまめなお手入れが必要です。
・シーン3:結婚式
華やかなシーンとは言え、会場には目上の方もたくさん出席しているので、
あまりにカジュアル&派手な靴は避けるべきです。
披露宴=パーティと勘違いし、メダリオンのようなつま先に穴が空いているデザインの靴はNG。
また、スピーチを頼まれている場合は、なおさらきちんとした印象の靴を履くべき。
最も適しているのは、紐付きのストレートチップで、色は黒です。
動物の皮や毛を強く印象付けるものは「殺生」に通じるため、結婚式では縁起が悪いとされているからです。
・シーン4:お葬式
お葬式は結婚式よりもルールが厳しいので要注意。
クロコダイル革(柄も)の靴は結婚式と同じく「殺生」に通じるので絶対に避けなければいけません。
また、エナメルのような光沢のある素材もNGですし、モンクストラップのようなメタルの飾りが付いた靴や
ショートブーツも相応しくありません。
お通夜・お葬式・法事法要に履いて良いのは、
内羽根式のストレートチップ、それも黒色のみと思っていいでしょう。
シーン5:パーティ
華やかなパーティは華やかな革靴を履きたいもの。
ただし、格式高いホテルなどで行われる場合は、フォーマルシーンであることを意識した靴選びが必要です。
ストレートチップやプレーントゥの黒い革靴であれば、どんな場所&雰囲気のパーティにも合わせることができます。
ただし、レストランのようなカジュアルな場所でのくだけた感じのパーティであれば、
ローファーやウィングチップをスーツの色や柄に合わせるといいでしょう。
ドレスタッセルなどで華やかさをプラスしてもOK。
〇まとめ
靴の種類やつま先のデザイン、各パーツの名称など、靴の基礎知識を学びました。
さらに、その知識を元に失敗しない革靴の選び方も習得!
これでショップに行っても、TPOに即した革靴をゲットできるでしょう。
素材もデザインも履き心地も極上の革靴で、ワンランク上のビジネスマンを目指してください。